VOCALEYESという、視覚が不自由なひとのアートへのアクセスを支援するチャリティ団体の主催で、9月5日と11日にウィショくんの『バッカイ』で、上演の前にタッチツアー(視覚の不自由なひとが舞台をより楽しめるように、舞台セット・小道具・衣装などに触れられるイベント)が行われるそうなんですが、そのサイトに作品の概略とキャストインタビューの音声ファイルがアップされていました!
作品概略のほうは書き起こされたテキストファイルもDLできるようになっているんですが、インタビューのほうはなかったので(音声ファイルはDLできるようにしてくれています♡)ウィショくんの部分だけ聞きとり和訳をしてみました。ウィショくんのディオニソスの解釈や演劇そのものに対する思いなど、ものすごく興味深い内容だったので、よろしければぜひ! ぜひ! ご覧になってみてください〜!! (あ、舞台のネタバレ的な内容もありますのでご注意くださいませね。また、インタビュアーさんの部分は直接日本語にしてしまっています。ご了承くださいませ)

(音声ファイルの39分あたりから)

インタビュアー:ディオニソスを演じているベン・ウィショーさんにも来ていただきました。ディオニソスは元来、演劇の神なんですよね?

ウィショくん:Yes, he is the God of theatre, he’s also the God of wine, and of um…ecstasy and madness and chaos and all sorts of other things. He’s a very intriguing God.

ええ、彼は演劇の神で、ワインの神でもあり、また…恍惚と狂気とカオスなど、さまざまなものの神です。本当に興味をかきたてられる神だと思います。

インタビュアー:中性的なキャラクターを演じるにあたり、役柄にどうアプローチされたんでしょうか? バーティ(カーヴェル)によれば、あなたは盲目の予言者タイレシアスとディオニソスというふたりの中性的なキャラクターを演じてらっしゃるそうですが、男性、女性、そして神の間でどのようにバランスを取って演じられていたんですか? と言いますのも、つまりは男性でも女性でもないキャラクターを演じるわけで……それについてはいかがでしたか?

ウィショくん:He is in disguise as a human, tells this…he tells the audience this right at the beginning of the play, that every now and then little flashes of his God-self might come through his human um…facade. So I just figured…I researched all the different things that he is known…um, to sort of embody or encompass as a God, animals like a bull and a snake and a lion, male and female…um, he is a kind of a God of um…loosening. So he blurs definitions, and um…creates uncertainty. So that was my thinking, I suppose.

ディオニソスは人間に変装していて、そのことを劇の最初のところで観客に告げるんですね。表面的に人間に見せかけてはいるけれど、そこから本性である神自身がときおり顔を出すかもしれない、と。なので……ぼくはディオニソスが化けるものとして知られているもの、神を具現したりするものとして知られているいろんなものを調べたんです。雄牛、蛇、ライオンなどの動物や、男性だったり女性だったり……彼は境界を曖昧にする神なんですよね。ものごとの定義をぼやかし、不確実性をつくりだす神なんです。なので、そういうことを考えていました。

インタビュアー:確かに、観劇している間、ディオニソスが次になにをするかわからないことから来る不安を感じました。この人物はなにをしでかすのか予測できない、というのはかなり恐ろしいものですよね。
あなたはディオニソスのほかにも、盲目の預言者タイレシアスを演じています。その準備として、(視覚が不自由な人向けのタッチツアーを開催している)弊社の常連客であるジョン・トーマス氏にリサーチをしたと聞いています。彼から何を学びたいと思われてのことだったんでしょう?

ウィショくん:Um, I wanted to understand…um, how it felt to be inside the experience of being blind, and I didn’t want to be patronizing in any way. Um, so…it was a very, very interesting discussion…um, and very illuminating for me as an actor, but also as a person, as a human being. Tiresias is blind but he’s also a seer, so he had a…so you know, this is a…this is the paradox…um, he sort of sees, but he doesn’t see. But um…John was incredibly generous and very helpful.

そうですね、盲目であることは実際にはどういうふうに感じられるものなのかを理解したかったし、いかなる意味でも見下したような恩着せがましい感じにしたくなかったんです。彼とは、ものすごく興味深いディスカッションをすることができて、それは役者としてはもちろん、個人としてというか、人間としてもとても啓発的な体験でした。タイレシアスは盲目ですが、同時に預言者でもあって、ゆえに彼は……つまり、そこにパラドックスがあるわけです。彼は『(未来が)見える』けれど、(物は)見えないんですね。ジョンは本当に寛大で惜しみなくいろいろと教えてくれて、とても助かりました。

インタビュアー:この劇では、タイレシアスにはカドモスというガイドヘルプ(道を歩く際に腕に手を添えて誘導するなど、視覚が不自由な人の介助をする)もしてくれる仲間がいます。ジョンは、ガイドヘルプは何をどうするのがいいのか、どこに手や腕を添えるべきなのかなどについて教えてくれたりしたのでしょうか? 一般的には、腕を組んだり肩に手を置いたりすることが多いと思うんですけれど。

ウィショくん:Hmm. Um, well yeah, John gave me a few pointers about what he does, it was very interesting to learn about how important touch is for John, um…and also memory of um…physical space, um…but I was so interested to learn that he doesn’t really consider that he has a…any kind of visual part to his mind at all, it’s all spacial and sound. And that’s been very helpful in the acting of this…of this role.

うーん、そうですね。ジョンはどういうふうにするのがいいのか、コツをいくつか教えてくれました。またジョンにとって触覚や……ええと、物理的な空間の記憶がどれほど大事なのか、というのもとても興味深かったです。それに、彼は自分の頭のなかに視覚的なものをまったく浮かべることがなくて、すべて空間と音で把握している、というのも面白かったですね。この役を演じるにあたって、本当にすごく役立ちました。

インタビュアー:『バッカイ』はあなたにとって最初のギリシャ劇だったと思うんですが、こうして演じてみて、またべつのギリシャ劇をやりたいなと思われますか?

ウィショくん:I…I am very interested in the plays now. I found the research um…I’ve done into Greek history and Greek theatre and um, well, everything about ancient Greece just absolutely thrilling. Um…

ええ、いまは本当にすごく関心があります。いろんなリサーチをしたんですが……ギリシャの歴史とか、ギリシャ劇とか、とにかく古代ギリシャに関するあらゆることがとてもスリリングで……。

インタビュアー:この舞台のために、背景についてなどのかなりのリサーチをなさったんですね。

ウィショくん:Yeah, I…I did. I’ve done a lot of reading and watching and um…because I knew nothing at all. But now it’s um…I understand why if it’s your subject, it’s…people have a particularly deep passion for it. I…it’s very addictive. So, I would like to, I think that the plays are very dark and very strange, and demanding. And so I would…I would have to be…um, I’d have to recover from this one before I took another one on. Because I think they really challenge you, and take you somewhere that’s very unfamiliar and very…quite frightening, actually. Yeah.

ええ、そうなんですよ。たくさんのものを読んだり、見たりして……というのも、ぼくは何も知識がなかったんですね。けれど、いまは……(ギリシャ劇に)興味のあるひとたちが、なぜあんなにも深い情熱を注ぐのかがわかりました。中毒性があるんですよね。なので、またやってみたいと……でも、ギリシャ劇はとてもダークで、奇妙で、労力を要求されます。だから新しいものに手をつける前に、まずはいまやっている舞台のあれこれから回復しないとですね(笑)ギリシャ劇は本当に自分を試されるし、まったく馴染みのない場所に連れていかれるので、とても……けっこう怖いんです。ええ。

インタビュアー:シェイクスピアのヴァイオラ役(『十二夜』)を演じたいとどこかでおっしゃっていたと思うんですが、本当ですか?

ウィショくん:I would love to play that part. I think I’m getting a little bit old now, but um…yeah. I do love that role.

ものすごく演じてみたいです。もう(その役を演じるには)ちょっと年をとってきちゃったと思うんですが……うん、大好きな役です。

インタビュアー:最近はオール女性キャストの『ヘンリー四世』や『ジュリアス・シーザー』が演じられていたり、現在もウェストエンドでデイヴィッド・スーシェが女性の役(レディ・ブラックネル)を演じていますが、そうしたことで男性が女性を、女性が男性を演じることはより受け入れられるようになったと思いますか?

ウィショくん:Well, I think it’s the joyous part of theatre. Um, I love it when I see um…I love it when you see the fact that it’s not real and yet you still believe. I think that is the essence of what theatre is. And it’s heightened when you have a man playing a woman, or a woman playing a man, as they’ve done recently at the Donmar with those um, Shakespeares directed by Phyllida Lloyd brilliantly. Um, I think it’s very thrilling, and I’d seen no reason why um…it shouldn’t happen more often. It’s all part of the play that is um…the playfulness of theatre. Yeah.

それこそが、舞台の楽しいところだと思うんです。なんていうか……これは本当じゃない、ということを事実としてわかりつつ、でも信じられてしまう、ということを体験するのが好きなんです。舞台演劇の本質はそこにあると思います。そしてそれは、男性が女性を演じたり、女性が男性を演じることで、さらに強調されるんですよね。少し前、ドンマー劇場で、フィリダ・ロイドの素晴らしい演出で上演されたシェイクスピアなどもそうでしたが。すごく刺激的だし、もっとたくさん上演されない理由はないと思います。まさに演劇の一部というか……舞台演劇がもつ遊び心、ですもんね。うん。

インタビュアー:今日はお時間をいただきまして本当にありがとうございました。

ウィショくん:Thank you, thank you.
こちらこそありがとうございました。

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以上です〜。
あまりにもおもしろくて、例によって萌えの勢いでざざざっとやってしまいましたので、後からちょこちょこ直すかもしれません。ご了承くださいませ(ぺこり)。また、ここは違うのでは? などがありましたら、どうぞご指摘くださいね。

それにつけても。ウィショくんの、なんと思慮深くうつくしいことか!! インタビューなどを読むにつけ、いつもそのやわらかな人柄とものごとに対する凛とした姿勢やユーモアに心打たれてしまうんですが、今回もやはりそうでした。三十路も過ぎた男性であることはわかっているんですけれども、どうしても妖精さんや小動物などの「ひとではないうつくしいもの」という感じがしてしまいます……。

ところで。ウィショくんの直前がバーティさんのインタビューなんですが、素晴らしくセクシーなお声で、ウィショくんとはまた違う魅力ですね。聞き惚れてしまいました♡

アイキャッチに使用している画像はこちらからお借りしました。

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