連日、かわいいタロンくんとおヒューさまのインタビューに癒されているわけですが。タロンくんについての、2016年3月31日付のThe Guardianのインタビュー記事が素晴らしくおもしろかったので、萌えの勢いのままに翻訳してみました♡ 長いのでまずは前半のみですが、後半もなるべく早くアップしたいと思います〜。(文中、エディ・ザ・イーグルに関するネタバレが多少ありますのでご注意くださいね)
*2016年4月5日:後半もこの記事の下方に追記しました♡
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タロン・エジャトン:「誰もがちょっとはレオナルド・ディカプリオになってみたい部分があるよね」
『キングスマン』で一躍注目を浴びたこのウェールズ出身の俳優は、今度は不運なスキージャンプの選手、エディ・ザ・イーグル役でスターダムにのしあがろうとしている。若き日のハン・ソロを演じるかもしれないと話題のエジャトンは、果たして誰もが知る大スターになる覚悟はできているのだろうか?
映画スターのなりかたなど、誰も知らない。演技の訓練を受けることはできるが、セレブとしてのふるまいを(本当の意味では)教わることはできない。常に世間の注目にさらされ、映画を宣伝しつつ自分自身をも宣伝する———そうした芸当は、実際にやりながら覚えていくしかないのだ。
タロン・エジャトン。イギリスの若手俳優のなかでもトップクラスのひとりである彼の場合、自分自身を演じてみせることに関する補講はまったく必要ない。2013年、奨学金を受けて通っていたロンドンの王立演劇学校(Royal Academy of Dramatic Art、RADA)を卒業してすぐ、彼はマシュー・ヴォーン監督によってR指定のスパイ映画『キングスマン』の主役に抜擢された。このとき、エジャトンはふたつの役にキャスティングされたと言っていいだろう。うらぶれた暮らしから紳士たちのスパイ組織に引き込まれていく労働者階級の少年『ゲイリー・“エグジー”・アンウィン』と、無名の新人から一躍4億ドル(*1ドル120円として約480億円)もの興業収益をあげた大作映画の顔となる、やはり労働者階級出身の少年『タロン・エジャトン』と。
エジャトンは、『キングスマン』のプロモーションツアーのために世界中を連れまわされた。その期間中、彼が同作の特別上映のためにRADAに戻ってきたとき、同校の校長であるエドワード・ケンプは彼にとってものごとがめまぐるしく変化していっていることを感じたという。「彼は自分がいまどの大陸にいるのかもわからない、といった様子でした。コリン・ファース、サミュエル・L・ジャクソン、マイケル・ケイン(*エジャトンの共演者)といった俳優たちを飛行機に詰め込んで世界中をまわらせるわけにはいかない以上、その役目はタロンに降ってきました。ただの学生からいきなりそんな立場になるのは、かなり怖いことだろうと思います」
『キングスマン』以降、エジャトンは『レジェンド』ではトム・ハーディを相手に、また『戦場からのラブレター(原題:Testament of Youth)』ではアリシア・ヴィキャンダーを相手に、危なげのない巧みな演技で脇役をつとめている。そしていま、彼はまた自身が主演するメジャーな映画を売り込むため、何ヶ月にもおよぶ時差ボケの日々のまっただなかにいる。
穏やかな内容の映画であるわりに、『エディ・ザ・イーグル』のマーケティングキャンペーンは非常にアグレッシブだ。バスやらなにやらに貼られたエジャトンの顔を見ることなしに、20メートルもロンドンの街を歩くことはできないだろう。もっとも、彼自身はそのことを知るよしもない。プロモーションのために、アメリカやノルウェー、それに中国や韓国を飛びまわっているのだから。そしてこのインタビューのためにエジャトンと会ったとき、さらにフランス、ドイツ、リトアニアが彼の到着を待ちわびている状態だった。
この作品で、エジャトンは1988年開催のオリンピックに出場するべくスキージャンプを独学でものにしたチェルトナム出身の元左官職、マイケル・“エディ”・イーグルを演じている。エディはメダルこそ獲れなかったが(実のところ最下位だった)、人々の心をみごとに勝ち取った。メディアが報じるエディの物語に、みんな夢中になったのだ。その競技が大好きだというだけの理由で、無謀にもトップに挑戦し続けた、縁の太い眼鏡をかけてジャンプ台にのぼる、並外れた受け口のまぬけな青年のストーリーに。
しかし、なにもわからずにバタバタしているように見えるエディだが、そのマインドは鈍くさいアマチュアのそれとはほど遠い。彼は最高のプレイヤーと同じぐらいやる気に満ちた野心家だった。ライバルたちのように上手くジャンプする方法はわかっていなかったかもしれないが、『エディ・ザ・イーグル』というブランドを売る術を心得ていたのだ。
エジャトンはいう。「エディはまぬけなんかじゃなかった。みんなほんとによく勘違いしているんだけどさ。言い伝えではまぬけだったことになっているけれど、違うんだ。賢くて、鋭いんだよね。もちろん優しくていいひとだけど、侮って茶化していい相手じゃない」
エジャトンもまた、世間知らずの田舎者などではない。エディのような大胆さと、動じない強さをもっている。一緒に仕事をした誰に聞いてみても、その頭の回転の速さやしっかりとした態度についてコメントしてくれるだろう。『エディ・ザ・イーグル』の共演者、ヒュー・ジャックマンは、エジャトンに備わっているような自信を身につけるまで12年かかったという。また『戦場からのラブレター』で姉役を演じているヴィキャンダーは、エジャトンの「あたたかな人柄と親しみやすさ」についてコメントし、おかげで作中ではまるで双子のようなケミストリーを発揮することができたと語る。
『キングスマン』において、作中でも現実でもエジャトンのメンターであったコリン・ファースは、彼が初めての映画出演という状況に慣れていくその速さに感嘆したという。
「あの役をもらえるのがいかにラッキーなことなのかを、彼はちゃんと理解していた。そのこと自体、少し身のすくむような思いだったりするものだが、彼は素晴らしく謙虚にうやうやしく受けとめていたよ。わたしはいつも、彼は自分がどれだけ才能にあふれているかを知っているのか、それを気にすることがあるのかを見定めようとしているのだけれど、わからないな。何時間でも彼と一緒にいられるよ……こう、なにかしら彼の欠点を開拓して助長してやりたいしね」
【以下後半】
エジャトンにもし欠点があるならば、それは奥深くに隠されている。彼はあっという間に、カメラの前での演技と同じぐらい、カメラがまわっていないところでのふるまいが上手くなった。
私は彼のホテルの部屋にやってくるあまたの人間のうちのひとりに過ぎないだろうに、彼は映画スターについているあのスイッチ———つまり、部屋に入ってきたのが自分になにかを指示したり、メイクをしてくれたり、食事を出してくれるのではなく、インタビューをしにきた人間だと気づいたとたんに入るスイッチを、ぱちんときれいに入れて見せた。
慌ただしく部屋に入ったところで、エジャトンは私にソフトドリンクを勧めてくれ、私の調子を気にかけてくれた(疲れて見えたのだろう。うちの赤ちゃんが寝てくれないのだから仕方がない)。彼はもう、何度となく同じことを繰り返しているだろう。違うホテルで、違う飲みものを勧め、違う赤ちゃんを気にかけて。なのに、彼は心からフレンドリーに接してくれる。コーヒーテーブルの上で足をカンカン踊りのように動かしたりして少し落ち着きはないけれど、それは旅行者血栓症(*エコノミークラス症候群)を防ごうとしているのかもしれない。それか、もしかしたら、ちょっとばかり退屈しているのかも。
エジャトンはリヴァプール出身の両親のもとにバーケンヘッドで生まれたが、彼が2歳のときに両親が離婚し、母親と一緒にウェールズに引っ越した。そしていろいろなトークショーの司会者たちが大喜びで話を振るとおり、アングルシー島のLlanfairpwllgwyngyllgogerychwyrndrobwllllantysiliogogogoch村でしばらく暮らしていた。ジョナサン・ロス、エレン・デジェネレス、ジミー・ファロンなど、どの司会者もみんな彼にこの地名を発音するようけしかけたが、なかでも最高のコメントはファロンの「これをタイプしているとき、猫がキーボードの上を横切ったのかな?」だろう。
世界中を飛びまわっていないとき、エジャトンは故郷と呼ぶウェールズのアベリストウィスに舞いもどる。彼は自らの才能が呼び寄せるチャンスを生かすことと、そうして一流スターへの道を進めば進むほど飛行機に乗って飛びまわる時間が増えてしまうということの間で、どうにか絶妙なバランスを見つけたいと思っている。
「誰もがちょっとはレオナルド・ディカプリオみたいになってみたいと思うよね。でもその一方で、自分はプライベートな時間をすごく大事にしたいタイプだということもわかってる。仲間とパブに行って、盛りあがって楽しんだりするのが大好きだしさ。本当の自分はそうじゃないのに、いつも品よくきちんとしてなくちゃ、みたいなことを気にしたくないんだ」
寂しくなったりはします? という私の質問に、「うん。ものすごく」とエジャトンが答える。
「泣き言をいうわけじゃないけれど、常に世界中を飛びまわってホテル住まいするのってキツいんだ。たぶんパートナーがいればマシなんだろうけど、おれもう3年もシングルのままだし。……生活のルーティーンやシステムみたいなものがないのって大変なんだけど、まあ贅沢な悩みだよね。いつか家族やパートナーができて、社交的なイベントとかから元気をもらわなくてもいい日が来るのを楽しみにしている部分があるよ。自分のまわりにそういう小さなグループが存在していれば、仕事人生も楽になるかな、って。じゃないと、本当に孤独で寂しいから」
こうして映画の宣伝のために自分自身をも切り売りしなくてはならないことは、もちろん理想的とは言いがたいが、もはや職業上の必要悪みたいなものであることを、エジャトンはよく理解している。いい役であるかどうかはさておき、安定した仕事をもたらしてくれるシリーズもの(ジャックマンによれば、「シリーズを持っていない俳優は死んだも同然」なんだそうだ)において、それは不可欠だからだ。エジャトンは、安定といい役という両方の願いを叶えてくれるシリーズ作品に拾ってもらえたことを、とてもラッキーだと思っている(*『キングスマン2』は来年公開予定)。
「ハリウッドが延々と作り続けているティーン映画のシリーズものって、多くの場合、主人公にこれといった特徴がないんだよね。ただ若くてハンサムな男が、なにかしらの旅に出るだけ。素晴らしい若手俳優たちが演じてはいるものの、結局そんなにおもしろいキャラクターじゃないんだ」
エジャトンが、ほかの大役を引き受けるのに慎重な理由もここにある。最近、彼は『スターウォーズ』シリーズのスピンオフ作品で若き日のハン・ソロを演じる最終候補の3人に選ばれたとして話題になっていたが、そうして名前があげられることを大変光栄だとしつつも、実のところオーディションは受けていないのだという。しかしもし仮に役をオファーされたら、引き受ける前にものすごくよく考えると思う、と教えてくれた。
「人生が変わるレベルの大役だから、やみくもに突っ込んでいったりはしないな。引き受けたら最後、もう後もどりできないし。そういうことにはやっぱり慎重になるよ」
エジャトンが現在経験しているようなことに備え、演劇学校で教えられることはなにもないと前出のケンプ(RADA、校長)はいう。こうした熱狂が巻き起こるのを目撃したのは、教え子のひとりであり、2007年にデビューしたジェマ・アータートン以来のことだそうだ。
「カメラの前で演技をするのと同じぐらい、プロモーションをすること自体も大きな仕事のひとつになりました。精神的に燃え尽きることなく、馬鹿なことを口にしたりもせず、それでいて自分らしくあらねばならないんです」
エジャトンには、この熱狂的な大騒ぎに飲まれることなく40年後もおもしろい作品に出演し続けるための不屈の精神が備わっている、とケンプは語る。難しいのは、自分のためだけのなにかを守りつつ、それをやってのけなければならないということだ。今年の英国アカデミー賞(BAFTA)に出席した際、ケンプはハリウッド一の大スターが歩きまわっているのを見かけたが、ほんの一秒たりとも放っておいてもらえない様子だったという。
「レオナルド・ディカプリオがひと息つくために、そっとその場を離れるのを見かけました。でも、彼を部屋のこっち側からあっち側に連れていくためだけに、十数人もの人間がまわりを取り巻いているんです。スターになるとは、そういう世界に足を踏み入れることなんですね」
こうしたなにもかもが始まる前のこども時代、エジャトンはモンスターに魅せられていた。ピクサーマニアであった彼は『モンスターズ・インク』に触発され、奇妙で素晴らしいモンスターたちの絵をあれこれ描いていた時期がある。ゆえに、俳優となったエジャトンにとって特筆すべきことのひとつは、同作品の監督であるピート・ドクターに会えたことだ。ドクターは、最新作の『インサイド・ヘッド』の中心的存在で、感情が擬人化されたキャラクターの『ヨロコビ』と『カナシミ』の絵を描いてくれたのだという。エジャトンはその絵を額装して自分のフラットに飾っている上、写真を携帯に入れて持ち歩いているとのことで、それをとても嬉しそうに見せてくれた。『ヨロコビ』は、嬉しげに飛び跳ねている。『カナシミ』は、床にぐったりと倒れ込んでいる。
喜びと哀しみ。仕事の成功と、個人としての幸せ。エジャトンは、それらすべてを越えてはるか高みを飛んでいる———安全な着地点はどこかを、しっかりと見極めながら。
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いろいろ興味深く、ふむふむと読んでいたのですが、途中のコリンの発言にぜんぶ持っていかれました……!!
つまり、コリンはタロンくんのことを【驕ったところがなく、欠点のない、素晴らしく才能あふれるいい子】だと思っているわけですね♡ しかも何時間も一緒にいて、タロンくんの欠点を見つけてそこを助長してやりたい、って……一体どんな願望なんでしょうか……おじさまったら……!!
……なんだかそこで思考停止してしまうんですがw がんばって後半も訳しました!
すごく深みのあるインタビューで、タロンくんがこの突然のスターダムをとても冷静にとらえているところとか、死ぬほど忙しくて疲れているだろうなかでもインタビュアーさんを気遣う姿とか、まだ二十代半ばとは思えないほど人間できまくっている部分がありつつも、取材中に足をぱたぱたさせたりしている年相応の(もしくはそれ以下w)やんちゃな可愛さなど、舞台裏の様子が垣間見ることができて嬉しかったです♡
今後どんどんスターになっていくだろうことを喜びながらも、教え子を心配する先生の思いなども含め、共演者のみなさんや周囲のいろんなひとたちがタロンくんをとても可愛く思っていて、かつものすごく期待を寄せていて。いろいろなプレッシャーがあるだろうけれど、彼ならできる! と心から応援していることが伝わってくる、熱くて愛情あふれるいいインタビューでした!! インタビュアーさんにも乾杯です♡
ところで。ピクサーが大好きで、こどものころにはモンスターのイラストをたくさん描いていたという話が出て来ますが(可愛いなあ、もう♡)そのおかげなのか絵はいまだに得意なようでして。こちらの動画でも「シャレード(ジェスチャーゲーム)とピクショナリー(お絵描きゲーム)、どっちが得意?」というヒューからの質問に、「んー……両方かな! ぜんぜん謙虚な答えじゃなくてアレだけどw おれ、ヴィジュアルで示してものを説明するの、けっこう得意なんだよね」と答えてくれています♡
いやしかし、演技はもちろんことながら、歌も踊りも上手くて、おまけに絵まで上手いとは、本当にあふれんばかりの才能をいくつも持った子ですね♡(*´∀`*)