【この記事は2020年2月4日にぷらいべったーに投稿したものの再掲です。】
突然ですが。Queenの「The Millionaire Waltz(ミリオネア・ワルツ)」というゴージャスな曲がわたしは大好きでして。これが彼らのマネージャーを着想源とした曲だという話は前々から何となく知っていたのです、が。
Queenのマネージャーってことは、年代的にもジョン・リードのことじゃね!?
ということに、最近ようやく思い当たりましてね! いえ、正確に申し上げれば、鍵アカのフォロイーさまがそう言ってらしたのを見かけて、そう言えばそんな話が確かにあったよ!と遅まきながら脳内で話がつながった次第でございます…遅い…。
(左から:70年代当時のエルトン・ジョン、ジョン・リード、フレディ・マーキュリー)
この「ミリオネア・ワルツ」は、1976年12月に発売された5枚目のアルバム「A Day at the Races(華麗なるレース)」に収録されているんですが、76年7月あたりからレコーディングをしていたそうなんですね。エルトンとジョン・リードが恋人同士としては別れているのが75年なので、その翌年です。ちなみに、ジョン・リードがQueenのマネジメントを手がけるようになったのも75年からです。
んでもって。ざくっと調べると、確かにいろんな英文記事に「ジョン・リードがインスピレーション源となった曲」という文字情報は出てくるんですが、いかんせんコピペっぽいというか、どの記事も同じ記事か何かをもとにして書いてるっぽいんですね。
それで納得するのもな〜と思ってもうちょっと調べてみたら、英国のコメディアン兼DJ のケニー・エヴェレットのラジオ番組で、フレディ自らそう発言したらしい、という話に行き当たりまして。それならばと気合いで探してみたら、ありましたよ!!!その1976年に放送されたらしいラジオ番組の音源が!!!フレディが自らの口で、「これはジョン・リードについての曲なんだ」と話してくれていましたよ!!!やったーーー!!!(勝利の舞)
ここにその音声を入れておきますね!!
(元の音声というか映像は、OfficialQueenRomaniaさんのYoutubeチャンネルにあるものですが、現在日本からは見れなくなっています)
ちなみに。歌詞の内容としては、「ぼくたちはかつて本当に幸せだった、ふたりで手をつないで過ごした日々をきみは覚えてる? いまはきみと離れ離れになってぼくは悲しい、どうかぼくのもとに戻ってきてほしい、ぼくはきみさえいれば百万長者の気分だ」というようなものでして。歌詞なので、それはもうさまざまな解釈ができるとは思いますが、フレディ自ら「ジョン・リードについての曲だ」と言うからにはそうなんだろうと思いますし、フレディがジョンを見ていて感じたこと、つまりはジョンの身になって書いた歌詞なんじゃないかな〜と私は思いましたです。フレディとジョン・リード、仲良しでいい友だちでもありましたもんね。
というわけで、以下にちょこっとそのインタビューの聞き取り和訳と、歌詞の個人的な和訳を入れておきます。
(※フレディとケニーもいい友人同士だったそうで、それもあってとても和やかな雰囲気のインタビューになっているのですが、さしあたりはケニーさんをですます調で訳してあります)
(4分あたりから)
ケニー:This is me talking to Freddie Mercury of Queen, who is…who must be a millionaire by now, what Freddie?
今日はクイーンのフレディ・マーキュリーをゲストに迎えてお送りしています。フレディ、あなたはいまやもう百万長者ですよね?
フレディ:Oh…in what way, do you mean?
ええと、どういう意味で?
ケニー:Financially and emotionally. I mean, you keep buying these expensive paintings and things.
実際にも、気持ちの上でも大富豪ですよねという意味ですよ。だって、高価な絵画やら何やらを次から次へと購入してますし。
フレディ:Yes, because I like them. No, actually it’s what I’ve been interested in a long while, and now that I’ve got a little bit of money to throw around I thought I might as well go and buy it. So I went to the Sotheby’s the other day, and got a few paintings. The dealers weren’t pleased at all!
うん、そういうものが好きだからね。ていうか、昔から関心があったんだけど、少し自由になるお金ができたから買っちゃおうかなと思って。この間もサザビーズに行って、絵を何枚か買ったんだ。ディーラーは全然うれしそうじゃなかったけれど!(笑)
ケニー:(出だしに何か言っているんですが、聞き取れません)。
Actually, um…you’ve brought champagne with you, which is very good of you.
そして今日はシャンパンを持参してくれたんですよね、うれしいことに。
フレディ:But of course dear, it travels with me everywhere.
そんなのあたりまえだよ、ディア。僕はどこにでもシャンパンを持っていくんだから。
ケニー:You make Gerald Harper look quite cheap. Thank you for that. Usually when I come in here, the place is full of old dead bottles, you know. And greenfly…but we’ve made him look peculiar today. Right, “The Millionaire Waltz” which is the next track on the LP, what is this (about)?
あなたのおかげで、ジェラルド・ハーパー(注1)がケチくさく見えましたよ、ありがとう(笑)いつもなら、彼の番組が終わった後のこのスタジオは古ぼけた空き瓶でいっぱいでハエが飛んでいるんですが、今日は彼が変でケチなやつだということがわかりました。さて、このアルバムの次の曲は「ミリオネア・ワルツ」ですが、これはどんな…?
フレディ:Well it’s all about John Reid, actually.
実はこれ、ジョン・リードについての曲なんだ。
ケニー:Your manager, well he’ll love all that.
あなたたちのマネージャーですね。この話を聞いたら喜ぶでしょう。
フレディ:I might as well…
僕もうれしいよ。
ケニー:It’s a bit gay and weird and strange, but it grows on you.
ちょっと賑やかで奇妙な曲ですが、聴いているうちにだんだんと好きになりますね。
フレディ:It’s very out of the Queen format, really and we thought we’d like to do that on every album. I think I went a bit mad on this one. But it’s turned out alright I think, it makes people laugh sometimes.
クイーンのいつものフォーマットとはまったく違うタイプの曲だけれど、みんな各アルバムに1曲はそういう感じのものを入れたいということになってね。少しクレイジーにやりすぎたかもしれないな。でも、結果的にいい感じになったと思うよ、聴いたひとが笑ってくれたりもするし。
ケニー:It’s very jolly, let’s have a (little) listen to it.
とても素敵な曲ですとも。ではお聴きください。
※注1:ジェラルド・ハーパーはイギリスの俳優さんで、当時ケニーと同じラジオ局で番組を持っていたので、いわばライバルですね。ジェラルドの番組では昔流行った曲やスタンダードな曲などをかけて、シャンパンやチョコレートをリスナーにプレゼントしていたそうなので、ケニーはこういう皮肉めいたジョークを言っているわけです(笑)ちなみにジェラルド・ハーパーさん、RADAのご出身でした♡
(以下、歌詞のマイ勝手訳)
Bring out the charge of the love brigade
There is spring in the air once again
Drink to the sound of the song parade
There is music and love everywhere
Give a little love to me (I want it)
Take a little love from me
I want to share it with you
I feel like a millionaire
遥かなる愛の旅団がやってきて*
春の気配が再びそこかしこに漂う
楽団のパレードに祝杯をあげよう
どこも音楽と愛に満ちている
ぼくに愛を少し(与えてほしい)
ぼくの愛も 少しばかり
きみと分かちあいたいんだ
百万長者の気分だよ
Once we were mad, we were happy
We spent all our days holding hands together
Do you remember my love?
How we danced and played
In the rain we laid
Wish that we could stay there, for ever and ever
ぼくらはかつてクレイジーなほど夢中で幸せだった
手をつないで一日をすごした
覚えている? 愛しいひとよ
いかに踊り戯れ
雨のなかで体を重ねたのかを
ときよ止まれと 永遠を願ったことを
Now I am sad you are so far away
I sit counting the hours day by day
Come back to me, how I long for your love
Come back to me, be happy like we used to be
きみはいま遠く離れ ぼくは悲しみに暮れている
あてどなく座り ときが過ぎるのを指折り数えるばかり
戻ってきて きみの愛を待ちわびている
帰ってきて あの日のように幸せになろう
Come back, come back to me
Come back, come back to me
Oh come back to me oh my love
How I long for your love
Won’t you come back to me?
戻ってきて ぼくのもとに
戻ってきて どうかお願いだ
戻ってきて 愛しきひとよ
きみの愛を待ち焦がれているんだ
どうか戻ってきてくれないか
My fine friend
Take me wiz you and (unt) love me forever
My fine friend
Forever forever
すてきな友よ
ぼくを連れていって 永遠に愛して
すてきな友よ どうか永遠に
Bring out the charge of the love brigade
There is spring in the air once again
Drink to the sound of the song parade
There is music and love everywhere
Give a little love to me (I want it)
Take a little love from me
I want to share it with you
Come back, come back to me, make me feel
You make me feel like a millionaire
遥かなる愛の旅団がやってきて
春の気配が再びそこかしこに漂う
楽団のパレードに祝杯をあげよう
どこも音楽と愛に満ちている
ぼくに愛を少し(与えてほしい)
ぼくの愛も 少しばかり
きみと分かちあいたいんだ
戻ってきて どうかぼくのもとに
そして感じさせてほしい
きみさえいれば ぼくは百万長者の気分になれるんだ
*「Bring out the charge of the love brigade」という歌詞は、「The Charge of the Light Brigade(軽騎兵の突撃)」というクリミア戦争中のバラクラバの戦いにおける英国軍の失敗したミッションを題材にした詩があり、それに対するオマージュかなとも思うのですが。それを題材にした同名の映画があり、その邦題が「遙かなる戦場」だったので、そのあたりを混ぜ合わせた訳詞にしてみました。
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こうして読むと、タロンくんとマッデンさんが「ロケットマン」のプロモ中によく話していた、エルトンとジョン・リードは最初は本当に愛しあっていたんだよ、少しずつ気持ちがすれ違っていってしまったけれど、最初は本当にお互いに恋に落ちて何年も幸せに過ごしたんだよ、という話を思い出します。
フレディの歌詞がその証明になっているとまでは言いませんが、フレディから見て、ジョン・リードはこういうふうに思っているように感じられたというだけでもうれしくて、胸がきゅっとしました…!!
遊園地でおデート中のエルトンとジョン・リード。かわいい。
エルトンのためにきらきらブーツ✨を選ぶジョン・リード。ふたりとも超可愛い。