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萌えの勢いで、1.01の字幕をまるっと翻訳してみました〜!
フレディは特にそうなんですが、みなさん政治的な意見を長々と述べたりする場面がけっこうあって、そこで各人の性格や考えかたがわかるようになっているので、拙訳ではありますけれども、これをお読みになりつつDVDをご覧になるといっそう楽しめるのではないかと♡ 各キャラ同士のかけあいも楽しいので、ぜひそのあたりも楽しんでいただければと思います〜♡(*´∀`*) 

* 登場人物紹介エピガイなどを先にご覧になると、さらにわかりやすくなると思われます。

* どの場面の科白なのかわかりやすくするため、例えば (フレディとベル、廊下にて) みたいな感じで、目安になる説明書きを適宜入れてあります〜。

* 著作権や版権などを侵害する意図はまったくありません。日本版DVDが出ておらず、また出される予定も当面なさそう(泣)ななか、The Hourのおもしろさやフレディの可愛さを広めたい!布教したい!!(><)という思いで個人的に翻訳したものです。日本版が発売された暁には、必要に応じて速やかに削除致しますです。

ではでは。拙訳を<もっと読む>に入れておきますね。

The Hour 1.01 字幕翻訳

フレディ:ニュース映画番組は死んだも同然です。大衆はもう飽き飽きしています。
機会をくだされば、それを証明してみせますよ。

(鉛筆の先が折れる)

フレディ:おっと。…ありがとう。
(新番組では)もちろん、アシスタントも必要だな。

アイザック:あと2分です、ミスター・ライオン。

フレディ:あとひとつ言わせてください。
……ぼくの最高の状態を、あなたはまだ知らない。

(タイトルロールが流れる)

フレディ(声だけ):彼の声をもっとマイクに寄せて。
字幕3をトラック開始。そこでロックして。
(収録開始のベルが鳴る)スタジオ、本番スタンバイ。

女性の声:ミスター・ライオン?
フレディ(声だけ):ビデオを流して。
女性の声:5秒前です。

フレディ:5、…4、

ジョニー(アナウンサー):ああ、準備はできている。
フレディ:…3、2、1

フレディ:ジョニーの声をオンにして。

ジョニー:さあ、1956年のデビュタントたちです。

フレディ:ニュース映画を流して。

ジョニー:若い女性たちが、ロイヤル・アスコットでの一日を楽しんでいます。
特にひとりの女性が、主演俳優アダム・ルレイの目を惹きつけたようですね。
彼女はエルムズ卿のご令嬢、ルース・エルムズです。
若く独身のアダムとの婚約は確実なようですね。
ロンドン社交界は、ウェディングベルが鳴り響く日を楽しみにしています。

フレディ:テレシネ入れて。

ジョニー:さて、次は海外ニュースのまとめです。

(青いワンピースを着たベルが入ってくる)

リックス:どうだった?採用された?

ベル:…私たち、ふたりとも採用よ。

リックス:(あなたは)プロデューサー?

ベル:ええ。そしてあなたは海外ニュース担当よ。

リックス:ブラボー!
ベル:でも、フレディにまだ言ってないの。
リックス:…幸運を祈るわ。


ジョニー:エジプトでは、アラブ国家主義のナセル大佐が選挙に勝利しました。
これは、わが国のアンソニー・イーデン首相が昨年エジプトのカイロを訪問し、
スエズ運河会社の将来について話し合った際の映像です。

ジョニー:以上、アレクサンドラ・パレスからニュースおよびニュース映画をお送りしました。
おやすみなさい。

フレディ:こちらも、以上。紳士諸君とアリス、今夜も素晴らしい放送をありがとう。
メイフェアでデビュタントがデビューするのと同じぐらい、恐ろしくありふれていてつまらない
「重要な」ニュースを本日もお届けしたことを誇りに思いつつ、家路に着こうじゃないか。

みんな:(クスクス笑い)
フレディ:3、2、1…。

(白いドレスを着た若い女性(ルース)が階段を下りてくる)

ドアマン:こんばんは、マダム。
女性:こんばんは。

(大学で講義をしている場面)

ピーター・ダレル教授:ツタンカーメンは息子としての義務を少しばかり怠った。
つまり、ファラオですら母親に手紙を書くのを忘れたんだな。
…さて、本日の授業はここまで。レポートは金曜日までに提出すること。
遅れて提出されたレポートは読まずに返すから、そのつもりで。

ルース(白いドレスの女性):オペレーター?ブルームズベリーの7428につないで。

ルースの母(エルムズ卿夫人):ゲストの皆様がもう到着されていてよ、ダーリン。
ルース:口紅。そう、口紅を忘れて…。

(ニュース映画番組のスタジオ)

フレディ:ジョニー、いつもどおり完璧だったよ。ありがとう

フレディ:(ベルに向かって) マネーペニー?

ベル:なによ、ジェームズ。ほら、金曜日の放送順よ。
次から自分でやりなさいよね、私はあなたの秘書じゃないんだから。
じゃあね、おやすみ。

フレディ:それで明日の番組はどうする、ミスター・ウェングロー?
ぼくは副大統領候補の指名はケネディだってほうに賭けてるけど、こればっかりはね。
皇太后が新しい帽子をあつらえました、とか? 20匹もこどもを産んだ珍しい豚の話とか?

ジョージ(フレディの上司):ミスター・ライオン。今夜はクラリングドン・ホテルに
行きたまえ。婚約パーティを取材するんだ。

フレディ:忘れるわけないじゃないですか、ジョージー。
ベル:誰が結婚するの?
フレディ:またどっかのデビュタントだよ。
ベル:おやすみなさい、ジョージ。

フレディ:ぼく、今日はどうだった?
ベル:最後のキューがちょっと遅かったわね。

フレディ:いい腕時計してるじゃないか。証券会社の男だっけ?
そいつは自分の時計がなくなってることに気づいてるのか?
ベル:銀行家よ。
フレディ:おい、きみの異性関係の詳細にぼくが興味を示すとでも?

フレディ:食事はどこに行ったの?
ベル:『シーキーズ』よ。牡蠣を食べたあと、お芝居を見に連れていってくれたわ。
フレディ:食事して、それから劇場へ。いいね、計画性のある男は好きだよ。
それなら満腹のまんま寝なくて済むからな。

ベル:(ホテルまで)一緒に乗ってっていい?

フレディ:(クロスワードパズルを見ながら)
8文字で、14個下。『不誠実なときでも誠実なときでも、信用できない敵』。
文字があってO、また何文字かあってF、そして何文字かあってD、ってなんだ?

ベル:Bona fide(善意)じゃない?

エルムズ卿(ルースの父):準備はいいかね?

(フレディとベル、廊下を歩きながら)

フレディ:ぼくらは、あのニュース映画番組に飼い殺しにされている。
ベル:そのとおりね。
フレディ:まったく、ポーランドでは戒厳令がしかれたかもしれないっていうのに、
ぼくらはレーニエ大公が女優とハネムーン中の映像なんかを流してる。
ハレルヤ!彼らは女王様と食事をしているぞ、ってね。ぼくらがやってる番組は、
世界は安泰だという安心感を毎夜ただ垂れ流すだけのものだよ。

ベル:ええもう、そのとおりよ。
フレディ:政府だかどこだかのお偉いさんが送ってよこした、
なにをどう放送するべきかっていう指示があるせいだ。ここから逃げだすぞ、ベル。

ベル:ええ、でもね、フレディ…。
フレディ:心配するな、マネーペニー。ちゃんときみを推薦してやるからさ。
きみはぼくと一緒に来るんだ。

(婚約パーティのシーンや、教授が殺されるシーン)
(婚約パーティの会場にて、フレディとベルの会話)

ベル:フレディ、この新しい番組だけど…まさに私たちが待ち望んでいたものよ。
一緒に仕事できるし、エキサイティングだわ。
…でも、あなたがインタビューを受けるまえに話したいことがあるの。
その間、ここで私と一杯飲んでいかない?

フレディ:それで楽しいことをぜんぶ見逃せって?
きみはここで銀行家の彼氏を待ってればいい。
でも警告しとくけど、絶対遅れてくるぞ。ああいうヤツらは、いつでも遅れてくるんだ。
9時までにヤツが来なかったから、ぼくのこと探しに来たらいい。

ベル:あんまり酔っぱらわないようにしてよ。
(フレディがマティーニをもう一杯取ったのを見て)…もう、ほんと信じられない!

フレディ:(撮影クルーに向かって)さてと、行こうか?

アダム・ルレイ:お集まりの紳士淑女のみなさん。
ぼくたちの婚約を、こんなにたくさんの愛する人々と分かち合えるなんて、
とても嬉しく思います。エルムズ卿、そして夫人、このように格式高いご家族の
一員になれることを名誉に思います。
では、前置きはこれぐらいにして、ぼくのうつくしい婚約者に、みなさんと
乾杯したいと思います。ぼくたちふたりとも、来週の土曜日にみなさんに
お会いするのを楽しみにしております。
そして、どうか晴れるよう、みなさん幸運を祈っててください。

エルムズ卿:ルースとアダムに。
全員:ルースとアダムに。

(フレディ、酒を抱えて部屋に入ってくる)

フレディ:隠れてるの?
ルース:ううん。…そうね、隠れてたの。パーティは嫌いよ。
フレディ:ぼくは『婚約したてのご令嬢、ミス・エルムズは光り輝いていた』って
記事を書いたばかりなのに。

ルース:こんにちは、フレディ。
フレディ:こんにちは、ミス・エルムズ。…『なにかコメントを頂けますか?』
ルース:いいわよ、それをもう一杯そそいでくれたら。
フレディ:きみ、いまいくつになった?20歳?21歳?
ルース:もう十分な年齢よ。
…あなたがいなくなったとき、わたし10歳だったわ。

フレディ:…まずは、おめでとう。きみが…幸せ、でありますように。

ルース:『陰謀とは、決して公に認めることのできない政策を遂行するために
複数の男たちが結ぶ秘密協定にすぎない』…あなたが書いたのよね。
フレディ:まあ、実際にはマーク・トウェインの言葉だけどね。

ルース:(鼻血が出る)ああもう!
フレディ:頭を傾けて、鼻梁をつまむんだ。
ルース:ごめんなさい。
フレディ:ただのハンカチだよ、気にしないで。
ルース:(小声で)…あなたには見えているわよね、フレディ?
あなた、いつもそうだったもの。

アダム:こんなところにいたのか、ダーリン。

フレディ:おやすみなさい、ミス・エルムズ。

アダム:まったく、ひどい酔っ払いだな。
ルース:こんなんじゃ、ぜんぜん足りないわ。

(ホテルのクロークにて)

クロークの女性:お連れ様のコートも持っていかれますか?
フレディ:いや、彼女があとで自分で取りに来ると思うよ。

(通りすがりのホテルの看板)
『ウィンドヒル・ホテル B&B』
『有色人種・アイルランド人・子供はお断り』

(フレディの家にて)

家のなかの声:誰だね?
フレディ:ぼくだよ、父さん。

フレディの父:今日はどうだった、フレデリック?
フレディ:はい、これ。(フィッシュ&チップスの包みを渡す)
電気つけなくちゃ。…ミセス・Bは来なかったの?食器洗いがまだ…。

フレディ:なに見てるの?……今夜のニュース見た?
父:いつもどおり、くだらなかったな。…あの可愛い子はどうしとる?
フレディ:ミス・ローリーのこと?彼女は、…元気だよ。

(BBCにて)

受付嬢(声だけ):おはようございます、ブロードキャスティング・ハウスです。
少々お待ちください。

ベル:8時半。私、8時半って言ったわよね。
フレディ:シングルモルトとマティーニをチャンポンにしちゃだめだな。
ベル:まったくもう!

ベル:編成本部長と約束があります、フレデリック・ライオンです。
受付嬢:少々お待ちください。

フレディ:例のマニフェストを持ってきたんだ。
ベル:あれは何年も前、ふたりでひどく酔っぱらったときに書いたものじゃないの。
フレディ:酔っぱらってたのはきみだけ。ぼくは素面だったよ。
きみは『時事的話題』のつづりを間違えて、Tを3つも入れてたけど。

受付嬢:7階にどうぞ。
ベル:ありがとう。…ちょっと、フレディ!

(エレベーターのなか)

フレディ:マルクスの引用でスタートしたほうがいいかな?
ベル:フレディ、本当にちゃんと集中して。
フレディ:ああ、そうだね。わかってる。最初からお偉いさんたちを怖がらせたくないからな。
これから新しい番組、ナントカをやろうってときに…
ベル:…まだ名前が決まってないの。
フレディ:まだ名前のない、テレビにおけるニュース番組の未来を変える
新番組をやろうってときにさ。

ベル:ロンドンと地方のニュースのバランスを取ることにフォーカスして
自己アピールしたらいいんじゃないかしら。あなたがブラッドフォード、マンチェスター、
それにリーズのニュースに興味があるということを彼らに知らせることが大事だと思うわ。
フレディ:なんで?
ベル:それは…彼らに見せなきゃいけないからよ。
フレディ:見せるって…なにを?
ベル:あなたが、国内ニュースに詳しいってことを。
フレディ:国内はきみの担当じゃないか。
ベル:選択肢は多くしておいたほうがいいわ。
フレディ:マネーペニー、きみは嘘をつくとき、豚みたいに小さな目になるんだよね。

ベル:私がプロデューサーなの。この新番組、クラランスは私をプロデューサーにって…。
フレディ:…なるほど。じゃあ、きみがプロデュースして、ぼくがアンカーマンになる。

クラランス:ベル、フレディ、待っていたよ。……さあ深呼吸して、フレディ。
ベル:クラランス?
クラランス:(ベルに向かって)ダグラスはなかで待ってくれているが、
スケジュールがびっしりなんだ。言いたいことがあるなら後にしなさい。

クラランス:文章は最後まできちんと話すこと。相手の話をよく聞くこと。
それからおかしなことをしでかさないこと。
フレディ:ええ、わかりました
クラランス:きみの評判は彼も知っている。いい評判はそのとおりですと言っておいたし、
悪い評判については、若気の至りでそういうこともあったが、もう大人になったので
そういう心配はないと言っておいた。

フレディ:クラランス、ぼくは…!
クラランス:フレディ、これは私の番組だ。最適なチームを作りあげること、
そしてそのチームにきみが含まれていることは、とても重要なんだ。
マニフェストは捨てなさい。(マニフェストを書いていたことは)ベルが教えてくれた。

クラランス:ボタンは1番上までかけて。

ダグラス(編成本部長):13分36.8秒。素晴らしい。
…そこだ。台無しじゃないか。フレームの上部にブームマイクが映り込んでいる。
こんなものは流せない。来週のジム・レイカーの試合には、グラウンドに
スタッフを2人行かせろ。ひとりはカメラを持ち、もうひとりはブームマイクが
画面に入らないようにするためにな。

ダグラス:きみ、クリケットはやるかね?
フレディ:ええ。…いいえ。必要ですか?ぼくはフットボール(サッカー)が好きなんですが。
ダグラス:どのチームが?
フレディ:ダービー・カウンティです。母の出身地で…。
ダグラス:では、そんなに好きというわけでもないわけだ。

(待合室にて、ヘクターとベル)

ヘクター:きみは自然史関係の番組をやるのかな?
BBCのどこかの部門にそういうチームが出来るという噂を聞いたよ。
ぼくは動物が大好きなんだ。

ダグラス:クラランスによれば、きみは素晴らしいジャーナリストだそうだな。
きみなら、明日のニュースはなにを流すかね?

フレディ:24時間あれば、いろんなことが起きますが…そうですね。
アイゼンハワーは、もう一期やるために大統領選に出るでしょう。
でも、それはわかりきっていることです。ぼくは劣勢の候補者のほうに興味があります。
うわさによれば、若きミスター・ケネディが民主党の副大統領候補だそうですよ。
まあ、ニュース映画ではこの手のスクープは流しませんけどね。

ベル:当ててみましょうか。財務部?
ヘクター:きみはリサーチ担当かな。月曜日には、撮影クルーと共に
アマゾンに旅立つんだろ?
ベル:まあ、そんなようなものね。

秘書の女性:お砂糖はいります?
ヘクター:それ、きれいなブラウスだね。

ダグラス:さて。60分番組を、6日間で準備して7日目には放送する。
3つのコーナーがあるとしよう。きみならどうする?

フレディ:最初のニュースでは、新英連邦からの移民について取りあげます。
毎年、75,000人が植民地からイギリスに移民してきますが、これが本当に
意味するものとはなんだと思います?
マーティン・ルーサー・キングはサンフランシスコで演説しました。
「新しいタイプの黒人」が生まれているんです。恐怖と自己嫌悪によって縮こまっておらず、
尊厳と運命によって突き動かされている黒人たちが。
なのに、わが国のホテルの窓にはいまだ恥ずかしげもなく『有色人種とアイルランド人お断り』
という看板が掲げられているという事実に、われわれは疑問を投げかけることすら
していないんです。2番目には、当然、マクミラン蔵相の金融引き締め政策に
ついてやります。

ダグラス:3番目は?
フレディ:先ほどの、13分38.6秒の映像を使います。あれはいいストーリーですよ。
ダグラス:画面にずっとブームマイクが映り込んでいるのにか?

フレディ:彼がゴールする姿を見せることが重要なんです。
ブームマイクが映ることで、よりリアルに感じられるじゃないですか。
あれは、われわれが『その瞬間』の証人となるための仕掛けなんですから。
ぼくたちがやっていることは―――やろうとしていることは、それじゃないですか。
つかの間に過ぎていく歴史的な瞬間を、弁解することなく暴露して見せること。
現在のように、ダイナミックさのまるでないニュース映画をだらだらと流して、
デスクから離れたこともないアナウンサーが原稿を読むことじゃないはずです。
目指しているのは、コメディ番組『ハンコックの30分』の前説として流される
味気ない5分間、じゃないはずです。
もちろん、誰もがエンターテイメントを求めています。
ですが、そうしてわれわれがテレビの前で笑っている間にも、ロシアはミサイルを配備して
第三次世界大戦を引き起こそうとしているんです。
見逃せない1時間。絶対に見なくちゃいけない1時間、にしないといけないんです。
本物のジャーナリストをカメラの前に立たせ、ニュースに対して
真剣であることを見せないといけないんです。

ダグラス:…つまり、きみは自分がカメラの前に立つことを想定しているのかね、
ミスター・ライオン?

ヘクター:女性がなぜそんなに雑誌が好きなのか、どうしても理解できないんだ。
絵を見るためだけに買うわけだから。

ベル:ええ、あなたの言うとおりね。そうそう、あの小説とかいうもの?
信じられないわ、あんなにたくさん文字が並んでいるなんて。

ヘクター:ここできみを「飲みに行かないか」と誘う流れなわけなんだが…。
ベル:ごめんなさい、南米に行く荷造りをしなくちゃいけないから。

フレディ:これはなにかの冗談ですか?国内ニュースだなんて。
貴族院の連中のガーデンパーティやら、ブランズウィックでの口蹄疫の発生やらの
ニュースをぼくにやれって?
クラランス:自分が新番組のアンカーマンになれると思う、きみのその厚かましさときたら!
フレディ:ぼくの意見について彼に聞かれたから、答えたまでです。
クラランス:ああ、きみは答えたとも。雄弁すぎるぐらいに。
くそくらえ、ということも含めてね!

クラランス:(ベルに向かって)きみのせいだぞ。フレディに事情を話して
落ち着かせておきなさいと言ったはずだ。彼はリスクだと言ったじゃないか。
フレディはいつだってそうなんだから。だが、きみは大丈夫だと言った。

クラランス:フレディ。きみがニュースを主導するわけじゃなく、まずはニュースありきだろう?
それがニュース番組における最初のルールじゃないのかね?もしかすると、
現在のニュース映画番組がきみには合っているのかもしれないな。

クラランス:(ヘクターに向かって)2分ほど待っていてくれたまえ。

ベル:あなた、財務部じゃないのね?
ヘクター:ああ、違う。(フレディに向かって)ミスター・ライオン、
あなたの大ファンなんですよ。
フレディ:どのあたりが?つまり、具体的にはぼくのやった仕事のどこが好きだと言うんです?
ベル:フレディ…。

クラランス:これは失礼、ミスター・マデン。こちらはミス・ローリーだ。
ヘクター:ええ、ミス・ローリーが誰なのかは存じてますよ。
クラランス:彼が新番組の『顔』となる。
(ヘクターに向かって)よければ、どうぞこちらに。

フレディ:まったく、ヤツはついでにチャーミングと来たもんだ!
ベル:フレディ!

(エレベーターのなか)

フレディ:なんで、ぼくにこんな仕打ちができるんだ?
なんのインタビューなのか、警告しておいてくれないなんて。
ベル:あなたが私の話を聞いてくれていたら、こんなことには…。

フレディ:ぼくがインタビューを受ける前に会いたいだなんて、
なんて優しくてスウィートなんだろうと思ったのが馬鹿みたいだ。
ベル:それでも、国内ニュース担当者になれるのよ?チームの一員に、
クラランスが信じているチームの一員になれるのよ?

フレディ:は?きみとぼくと、あのグレゴリー・ペックみたいなやつとでか?
あいつ何者だよ?どうせオックスフォード出とかだろ?まあ、少なくともきみは自分と
同類のやつと一緒にいられるってわけだ。……ああ、しかもやつを魅力的だと思ってる。
まったく、きみときたら救いようがないよ。

ベル:ニュース映画番組で飼い殺しにされてるって言ってたのはあなたじゃないの。
本当にあんなところで腐っていたいの?これの前に私が世話してあげた仕事のとき、
当時の通産大臣が賄賂を受けとっているとあなたが糾弾したせいで危うく番組全体が
潰されるところだったのよ!
フレディ:実際、受けとっていたじゃないか!

ベル:クラランスは、最初からあなたを高く買っていたわ。
彼はあなたにチャンスをくれたのに、あなたはそれを踏みにじったのよ。
あなたは自分で思っている以上に素晴らしくなれるのに、こうしてダメにしてしまうのよ。

ベル:新たな時代にふさわしい、新たな番組。
上層部は、そのプロデューサーに私を選んだの。

フレディ:彼らは、きみに調子を合わせているのさ。
本当は女になんかやらせたくないんだよ。扱いが面倒だし、ヒステリックだし。
おまけに、ずっと働いてくれる女を探すのは難しいときてる。あと数年も経てば、
赤ちゃんが欲しいとか言い出すんだろ?

ベル:もう黙りなさいよ!
フレディ:きみに面と向かって言わなくても、彼らは腹のなかではそう思ってるのさ。
ご機嫌とり以外の理由で選ばれたと思っているなら、自惚れ以外の
なにものでもないよ、きみがそう信じているなんて…。

ベル:なによ?私にこの仕事ができると信じていることが?
本当にこの仕事ができると信じることが、自惚れだというの?
……見てらっしゃい。

(テレックスで入ってきている文面)
『地元の大学教授 殺害される』
『大学教授が強盗だと思われる事件で殺害され…』

リックス:ああ、ライオン。
ジョージが、副大統領候補指名の代わりにエディンバラ公のネタを放送したいんですって。
フレディ:ぼくの担当じゃないよ!王室ネタはミスター・ウェングローの担当だ。
アイザック:彼、馬に乗っているところは颯爽としてますよね。

ジョージ:記事の締め切りは4時だよ、みなさん。4時までに仕上げること。

リックス:ダウニング街10番地に医者が到着するところが目撃されています。
どうやらイーデン首相はまた具合が悪いみたいね。
ジョージ:うわさだけではなんともできないね。
リックス:カイロについては?
ジョージ:ベルゲンで行われたボブスレーの試合について取りあげて、あとは…。

フレディ:あなたが「うわさ」で済ませてしまうものは、
世間では「将来に対する洞察」と言われているんです、ジョージ。
ジョージ:エルムズ家の婚約記事はもう書けたのかね、ミスター・ライオン?
フレディ:いいえ、ちっとも。
ジョージ:いいかね、きみの仕事を代わりにやりたいという人間は
いくらでもいるのだよ、ミスター・ライオン。
フレディ:それは脅しですか?
ジョージ:締め切りは4時。イーデン首相のネタも、カイロのネタもボツだ。

リックス:ふてくされないの、顔が台無しよ。
フレディ:(新番組で)せめて海外ニュース担当をオファーしてくれたらよかったのに。
リックス:それはもう決まってるのよ。
フレディ:もしや、きみなの?…裏切り者、ぼくのデスク返せよ。
リックス:あら。私の記憶が正しければ、このデスクは私が勝ち取ったものよ。

リックス:…あなた、ポーカーフェイスがまったく出来ないのね。
アイザック:ミスター・ライオン、昔のご友人だという女性が
お会いしたいって見えてますよ。

(廊下にて、フレディとルース)

フレディ:素敵なコートだね。
ルース:母は嫌いなのよ、これ。苛つかせるために着てるの。
ほんのちっぽけなことでも、反抗できるところでしないとね。
フレディ:いまのはジョーク?
ルース:おかしいわね、ほとんどのひとは私がシリアスすぎるっていうわ。
でも私、世界は実際、本当にシリアスだと思うから。

フレディ:ああ、本当に大きくなったんだね。
ルース:まったくもう、こども扱いしないで。
なんで私からの手紙に一度も返事くれなかったの?……どうでもいいけど。
あなたがなにをしているか、いつも動向を追いかけていたわ。
あなたが書いた小さな記事を探して読んだりしてね。

フレディ:(ぼくの読者だなんて)きみはとてもめずらしいよ。

ルース:雑誌『The Listener』に掲載された短編も見つけて読んだのよ。
ちなみに、出来はいまひとつだったと言わざるを得ないけど。
でも、小説は思想の自由が許されている最後の領域なのかもしれないわね。
考えや言うべきことを『彼ら』に強制されないところ。小説のほかは芸術もそうかもね。

フレディ:『彼ら』?彼ら、って誰のこと?
きみはなにを言ってるんだ?

ルース:彼ら…!『彼ら』はどこにでもいるわ。
このビルにも、街にも、あなたのにオフィスにも。
『彼ら』はあなたがなにを書くかについてもコントロールしてるのよ。
…ピーター・ダレルについて聞いたことはある?

フレディ:(首を横にふる)

ルース:彼…彼は、この国でもっとも活発に政治的な意見を述べる人間のひとりだった。
昨日の夜、殺されたの。夕刊で強盗殺人として報道されるわ。本当は違うのに。
でも捜査は行われないわ。彼をもっとも愛したひとたちですら、忘れるように言われるの。
『彼ら』は騙すために蜘蛛の巣のように嘘を張り巡らせるわ。
…馬鹿ばかしいと思ってる?ええ、そうだったらいいのにね。
彼がなぜ殺されたのか、あなたに探ってもらいたいの。

フレディ:警察に行きなさい。ぼくは適任じゃない。
ルース:いいえ、あなたが適任なの。…あなた、私たちが民主主義の世界に
生きていると思ってるでしょう?この国には、言論の自由があると思ってるでしょう?
…そんなものはないのよ。
……出口はわかるから着いてきてくれなくて大丈夫よ。
(耳元で囁く)あなたと話したと知られたら、私も『彼ら』に殺されるわ…!

フレディ:男…刺された男。北ロンドンで。
今朝入ってきたニュースなんだ、誰か見てないか?
名前はピーター、ピーターなんとか。

(テレックスの文面)
『地元の大学教授 殺害される』
『大学教授が強盗だと思われる事件で殺害された。
昨夜、北ロンドンで発見された男性の死体は地元の大学教授、
ピーター・ダレルだと判明した。警察によれば、彼は強盗に喉を刺されて
死亡したと思われる。現段階で犯人はまだ逮捕されていない』

(食事の席にて)

ヘクター:彼は許してくれた?
ベル:誰?
ヘクター:ミスター・ライオンだよ。インタビューについて、
彼にちゃんと言っておくべきだったね。
ベル:彼も大人なんだから、大丈夫よ。
クラランス:ふたりとも会えたようでよかった。
ダグラスはこちらに向かっている途中だよ。

(警察署にて)

フレディ:やあ、チャーリー。これで頼むよ。
チャーリー(警官):ダメだ。
フレディ:昨夜、強盗事件の被害者だと思われる死体が来ているはずだ。
…きみ、赤ちゃんを怖がらせて泣かせたのか?

(手帳に走り書き)
『金を受けとれ いらないなら赤ん坊に渡す』

警官:私服刑事が1時間前にやってきたよ。

ベル:アレクシス(リックス)・ストームが海外ニュースを担当するわ。彼女は…。
ヘクター:マドリッドでスペイン内戦をレポートした。そしてイギリス軍がフランスに
到着したというニュースを『40’s』で伝えた。
ベル:ええ。彼女にはヨーロッパ、中東、そしてアフリカにかけて
幅広い特派員のネットワークがあるの。
ヘクター:国内ニュース担当をどうするかという問題は、もう解決したわけですか?
クラランス:ああ、何人かの候補者がいるよ。
ベル:クラランス…。
クラランス:(ウェイターに)クラレットをいただこう。

ベル:今朝、フレディが本調子ではなかったことは認めますが…。
クラランス:きみに彼は必要ないよ。
ベル:彼には情熱があります。
クラランス:彼は危険だ。
ヘクター:日曜のニュース番組になかなかいい感じのやつがいます。彼なんかはどうでしょう?
ベル:いいえ!…フレディは腹立たしいですし、遠慮なくずけずけと物を言います。
でも、彼は平凡なものごとのなかにある非凡なことを見出す目を持っています。
番組には彼が必要だと確信しています。…この番組を出来うる限り最高のものにするために、
私には彼が必要なんです。

ヘクター:その最高のもの、とは?
ベル:フレディの目から見た世界、のことよ。例えば列車事故や労働ストのとき、
彼はほかのジャーナリストたちがいる場所からは離れたところで、
もっとも重要じゃなさそうなひとと話をしている。でも、一般のひとたちにとって
フレディが取ってくるそうした話題こそが、もっとも関心があって重要なことなのよ。
彼は、そういう話を見つけてくるの。

クラランス:やあ、ダグラス。
ダグラス:クラランス。ぼくのぶんも注文しておいてくれたかな。
いや、どうぞ座ったままでいてくれたまえ。

フレディ:何人来たんだ?
警官:5人だ。
フレディ:MI5?
警官:署長はBox 850だと言っていた。(*注1)
フレディ:SISか。

フレディ:死んだときにMI6が弔問に来たら、重要人物ってことだな。
(スーツが切り開かれているのを示し)これはそいつらがやったのか?

警官:誰かが、なにかを探してたってことだ。

フレディ:(財布を開けてみて)15ポンドある。強盗じゃないだろ、これ?
(煙草の空箱を手にして)この最後の1本を盗んだ、とかじゃない限り。
警官:5分経った。もういいだろう。
フレディ:ああ、もういい。

クラランス:マケインが来た。
ベル:(ヘクターに向かって)イーデン首相の報道官っていうか手下のひとりよ。
クラランス:くそ、こっちに向かってきている。
ダグラス:私にまかせておきたまえ。

ダグラス:ああ、ウェストミンスターはこうしてきみに食い扶持を稼がせているのかな?
マケイン:やあ、クラランス。これはまたそうそうたる顔ぶれですな。ああ、ミスター・マデン!
ヘクター:どうも。

マケイン:ミス・ローリー、きみが制作したあの『イーデン首相夫人の部屋』は
実に素晴らしかった。私の友人たちも…とても楽しんだと言っていたよ。
ベル:イーデン首相の健康状態は良好ですか?
マケイン:ああ、もちろんだとも。
ベル:そうですか、また体調が優れないと聞いたんですが。
マケイン:おお、なんと母性の強い。きみはニュース番組にはもったいないと
常々感じていたよ。

マケイン:(ダグラスに向かって)今日、会えるといいなと思っていたよ。
話したいことがあってね。(インドの)ネルー首相がロンドンに来る予定なんだが、
バートンが何週間も前から私に電話をかけてきてはインタビューさせろとうるさいんだ。
「いいや、申しわけないけれどBBCが先だよ」と言っておいたが。
……ところで、これはなにかの祝いごとかね?

ダグラス:実は時事ニュース番組をスタートさせるんだよ
マケイン:おお、なんと。それは素晴らしい!番組名は?
ダグラス:いや、いま検討しているところでね。ミスター・マデンがアンカーマンで、
クラランスが制作総指揮、そしてミス・ローリーがプロデューサーだ。
マケイン:ふむ、それは驚いたことだろうね、ミス・ローリー。青天の霹靂だ。
ダグラス、きみのチームを向こうに紹介しなくては…。

ベル:(クロークの女性に)マッキントッシュのコートよ。
ヘクター:はい、テーブルに忘れていっていたよ。
ベル:ありがとう。
ヘクター:お祝いに、ブランデーでもどうかな?
ベル:喜んで、と言いたいところだけど、女性はあのドアの向こうには入れないわ。
…あなたたち男ってなんなの?なぜか、いつも私たち女性の入り込めない片隅に
固まりたがるわよね。
ヘクター:じゃあ、違うところにお連れするよ。おいで、ぼくは禁制品を
密輸するのは得意なんだ。

ベル:これは完全に違法行為よ。
ヘクター:だからよりいっそう楽しいんじゃないか。

ヘクター:あの男にあんな風に口を利かれるのを、どうやったら我慢できるんだ?
ベル:政府筋に近い男を敵にまわすなんて愚かもののすることよ、ミスター・マデン。
ヘクター:ヘクターと呼んでくれ。
ベル:トロイの英雄の名前ね。
ヘクター:学者気取りの父親がつけたのさ。
ベル:お母様は?
ヘクター:ああ…ぼくが10歳のときに亡くなった。

ベル:もうだいぶ遅い時間ね。私、明日も仕事があるの。
ヘクター:じゃあ、本当なんだね?きみはどんな男と比べても2倍は懸命に働くうえに、
男たちの誰もがきみに敵わないっていうのは。
ベル:男どもを相手にするのは好きよ。

ヘクター:マッカーシー議員がリンカーン記念日にやったスピーチを取材したというのは本当?
ベル:ええ、壊れたテープレコーダーでね。
ヘクター:ぼくは、きみがミスター・ライオンのためにこの仕事を諦めるとは思ってないよ。
きみなら、結果を得るために必要なことはなんでもするだろう。明日の午後は休んだらいい。
どっちみち、古い職場のほうは今週末には辞めるんだから。

ベル:私がプロデューサーになったとき、あなたがこんなに怠慢じゃないことを願うわ。
ヘクター:ミスター・ライオンと話し合うといい。
ベル:そのつもりよ。…彼は自分の意見以外、誰の言うことも聞かないけどね。

(フレディ、イーデン首相に関する記事の切り抜きなどが壁に貼り付けてあるのを見ている)

大学教員:このドアは閉じられていたはずだ。鍵をかけておくと彼らが…。
フレディ:『彼ら』? …ぼく、ミスター・ダレルとの約束をいただいているんですが。
大学教員:ダレル教授は、残念なことに昨夜亡くなったんです。
フレディ:…ああ、それはお悔やみを申しあげます。
大学教員:彼のお知り合いですか?
フレディ:いえ、でもそうなれるといいなと思っていました。
大学教員:大学の会計係と話をしたいなら…。
フレディ:彼は結婚していましたか?
大学教員:ダレル教授ですか?…いや、してなかったと思いますが。
フレディ:それは痛ましい。
大学教員:どうやら、強盗の仕業だったようですね。
フレディ:警察に話を聞いたんですか?
大学教員:…夕刊に掲載されると思いますよ。

(駅の売店にて)

売店の店員:大丈夫ですか?
フレディ:(うなずく)

(新聞の1面記事)
『ケネディ、副大統領候補に指名のうわさ』

(別のページの小さな記事)
『大学教授、死体で発見される』

フレディ:えっと…この男に見覚えはある?この近くで働いているんだが。

売店の店員:ええ。昨日の夜、ちょうど店じまいしているときに来ましたよ。
煙草の小銭がないって言うから、明日払ってくれればいいと言ったんですが、
彼はどうしてもこれを担保に持っててくれと言いましてね。
煙草1箱にしちゃ、ちょっと大げさだなと思いましたよ。
おまけに、彼は戻ってこなかったんですから。

(ニュース映画番組のオフィスにて)

フレディ:蘭か。その銀行家の男にひとこと言っておいたほうがいいよ、
本当にやつらときたら恐ろしく月並みで陳腐なんだから。

ベル:ジョージ…ジョージ!私が辞めること、あなた知ってるんでしょう?
ジョージ:なんだね?もっとも腕のいいジャーナリストをふたりも失うんだ、
私には感情を害する権利があるはずだ。ベル、きみはもう大人だからこれは
タダで教えてあげよう。
きみたちが辞めることを私が知っているのは、ここには秘密などというものはないからだよ。
きみにも、私とおなじように紐をぐいっと引っ張られるときが来る。
ベル:いいえ、そんなことはさせないわ、ジョージ。
ジョージ:いずれわかるさ。

フレディ:やあ、ジョージー。はいこれ、ネタ。
優秀な大学教授が喉を切られて死んでいるのが見つかり、強盗殺人として処理されています。
検視もされていなければ、犯人捜査も行われていない。遺体のスーツの縫い目がすべて
切り開かれていました。MI6が遺体安置所までやってきているんです。

ジョージ:間に合わなかったな、プログラムはもうすべて埋まっている。
フレディ:MI6が、いままで強盗殺人の被害者の遺体を見に来たことがあったとでも?
やつら、ぼくの質問に答えてもくれなかったんですよ?

ジョージ:なんで答えたりする必要がある?彼らはMI6なんだ。
フレディ:は?それでぼくらはただ大人しく納得しろとでも言うんですか?
彼は財布も腕時計も盗られてなかった。あと24時間ください、そうしたら
追跡調査をしてちゃんとした記事を書いてみせます。

ジョージ:ミスター・ライオン。きみがイアン・フレミングの書いたスパイ小説に憧れる
気持ちはわからんでもないが、私は現実とフィクションは分けておく主義だ。

フレディ:いいや!これはいま、たったいまこの瞬間にも起きていることなんだ!
このビルの外で、そこらじゅうの道端で、世界であらゆることが起きているのに、
ぼくらはそれを無視することで大衆に危害を加えているんだ!
あんたはこのネタは放送しないくせに、ルース・エルムズが婚約発表パーティで
にっこり微笑んでいる映像は流すんだ。

ジョージ:いいや、フィルムが飛んだんだ。婚約パーティもボブスレーも両方なしだ。
エディによれば、機材になにか問題があるらしい。
フレディ:まったくあきれたな、ジョージ。あんたは一生に一回でも自分のオリジナルの
意見ってものを持ったことがあるのか?あんたは、自分が常にイエスマンだったと思いながら
死んでいきたいのか?
ジョージ:…私はニュース番組を放送しなくちゃならんので、これで失礼する。

フレディ:ぼくらの番組より、(こども番組の)『ザ・スーティ・ショウ』のほうが
まだ人気あるって知ってますか、ジョージ!
ジョージ:きみはクビだ!
フレディ:ああ、喜んで!

ベル:フレディ!
フレディ:あっち行けよ、マネーペニー。
ベル:……なんでこんなことをするのか、自分でもすごく疑問だけど。
特に、あなたが私に謝るべきだってことを考えるとね。でも、誰かを信じるってそういうことだから。

フレディ:きみはあのとき、なにも言わずにぼくをあのインタビューに送り込んだ。
ベル:ええ、ちゃんと教えるべきだったわ。悪いと思ってる。でも、国内ニュース担当は…。
フレディ:アンカーマンじゃない。それじゃ不十分なんだ。
ベル:でもなにより、ここじゃないわ。ここから出たくないの?ほかの誰があなたを
雇ってくれるっていうのよ?…どこかの素敵な女の子に助けてもらわなくちゃダメだって、
あなたもわかってるはずよ。
フレディ:どこのだよ?いつだって、ぼくにはきみしかいなかった。
…しかも、そのきみだってたいして素敵でもないし。

ベル:わかったわ。あなたはここでそのくだらない煙草ケースを分解してれば
いいじゃない。来週には別天地に行けるっていうのに…。

フレディ:前は、ぼくが断ったオファーってだけだった。でもいまはお情けでもらう
ポジションだ。そんなの、受け入れることはできないよ。

ベル:できない、んじゃなくて、受け入れないだけでしょ。

フレディ:違う!そしてもう二度とこの件についてぼくに聞かないでくれ、
正直いって飽き飽きだよ。きみのその、自分の二本の足で立つことのできないところが。
まあでも、しょうがないんだろうな。マネーペニー、きみはいつも強気なことばかり言うけど、
実のところは絶望的だよ。自立したいってあんなに願っているくせに、
独りきりではやっていけないんだ。きみが結婚している男とばかりつきあう理由なんて、
ほかにないだろう?

ベル:ブラボー、おみごとよ。

(電話が鳴る)

フレディ:はい?…もしもし?
ルース:なんにも…なんにも、放送されなかったわ。
フレディ:…ごめん。でも、ぼくに助けを頼んだきみも馬鹿だし、
助けられると思ったぼくはもっと馬鹿だった。……聞いてる?ルーシー?

ルース:諦めないで、フレディ。絶対によ。
本当に心から大事にしていること、信じていることのためなら、
抵抗し続けなくちゃいけないの。ほかのみんなが諦めてしまうっていうなら、
好きにさせておけばいいわ。でもそれが大人になるっていうことなら、
私は永遠に21歳でいることを選ぶわ。

フレディ:ルーシー?
電話交換手:電話を切っていただけますか?
フレディ:いまの電話、どこからかかってきたか教えてもらえますか?
電話交換手:クラリングドン・ホテルです。

リックス:ベルと私はあと5分でここを出るわ。あなた、いつまでそんな臆病者でいるつもり?
フランスにいたとき、そうね…大まかな意味でジャーナリストと言えないこともない男たちが
いたわ。彼らは前線に行ったこともなければ、胸壁から上に頭を出したこともなかった。
撃たれることに脅えてね。
そのくせ、なかには私が読んだなかでも最高の出来の戦場ルポを書くやつもいたわ。
情報を私たちから盗み、わからないことはでっちあげてね。でも、あなたはそうした
連中とは違う。それに、本当のところは胸壁の上に首を出して泥だらけになってみないと
わからないじゃない?やってごらんなさい。飛べるものなら、飛んでみなさいよ。

アイザック:飲みに行くんですか?
フレディ:すでに酔っぱらってるから行かないよ。

アイザック:ぼく、煙草吸わないんですが。
フレディ:あとのために取っておけばいい。
アイザック:…これ見てもらえませんか、ミスター・ライオン?
あなたのご意見が頂ければ嬉しいです。
フレディ:『ロンドンの名誉市民権授与はもっとも古い伝統のひとつで、
抜き身の剣をもってロンドン市を歩いてよいという特権などが付与された
13世紀にまで遡ります』…これ、ジョージに書けって言われたの?
アイザック:ええ。
フレディ:うーん…その、ええと…とてもきっちりしてて、明確だね。
アイザック:退屈な文章ですか?
フレディ:…うん、そうだね。
アイザック:そうじゃないかと思ってました。

(机の上のメモ)
『私たちと一緒に来なさいよ』

(タクシーに乗り込んで)

フレディ:電気スタンド忘れてたよ。
ベル:(リックスに向かって)昔どこかで手に入れた、ただの安物なのに。
フレディ:1952年4月のきみの誕生日に、ぼくがジョン・ルイス(※庶民的なデパート)
で買ったんだ。
ベル:黄色い電気スタンド、女の子ならみんな欲しがるものね。

フレディ:アイザック!一緒に来い。
ベル:なにしてるの?!
フレディ:うん、ぼくらも一緒に行こうかと思って。
ベル:ダグラスが、ライム・グローブ・スタジオで一杯どうかって
私たちを誘ってくれたのよ。
フレディ:わあ、やったー!(※わざとこどもっぽい口調で)
リックス:お子様たち、うるさいと泣かすわよ。

ベル:(運転手に向かって)ありがとう。
リックス:荷物はこのへんに置いておこうかしら?
アイザック:それでいいんじゃないでしょうかね。

フレディ:なんだよ?最初のハードルでもう転んじゃうのか?
…この仕事、きみなら逆立ちしてたって出来るよ、マネーペニー。そうじゃないなんて
誰にも言わせるな。ぼくにも、ジョージにも、馬鹿な銀行家の彼氏にも。
この仕事には、きみが最適なんだから。自分でもわかってるんだろ?

ベル:それで謝ってるつもり?
フレディ:あの電気スタンドをあげたあと、一緒にまずい中華を食べに行ったよな。
スタンドに角度がつくようになってるのは、きみが読むときページに顔を押しつけるように
してて、いつも明かりが足りないから。あと、鼻が小さくて眼鏡をかけたらモグラみたいに
見えるからって言って眼鏡をかけたがらないから。ちなみに、モグラには見えないけどね。
見えるわけないよ。眼鏡、きっとよく似合うよ。いまと変わらず、なかなかの美人に見えるはずさ。
そして電気スタンドが黄色いのは、誰も黄色いのなんか欲しがるわけないってきみが言ったから。
それなら、誰もきみの机から盗んだりしないだろうと思って黄色にしたんだ。
ほら、ぼくはこういうことについてかなり細かく考えるタチなんだよ。
悪魔は細部にひそむ、ってね。(*注2)

フレディ:それから、ぼくのネタについてきみが言ったことだけど…そのとおりだ。
ジョージは絶対にあれを放送しないだろう。見たところ優秀な大学教授が
郊外の道端で喉を切り裂かれて死んだ。誰がそんなことについて聞きたいっていうんだ?
でも、だからといって諦めたらいけないんだ。
だからこそ、ぼくは煙草ケースを分解するんだよ。

ベル:あなたがはっきりと言葉にするのを聞きたいわ。
フレディ:……机をどれにするかはぼくが1番に選ぶ。それからオフィスには窓が欲しい。
あと、アシスタント。ぼくには絶対にアシスタントが必要だ。
あと、ぼくは農業関連のニュースは担当しない。

ベル:それから?
フレディ:それから…、ぼくが断った…。
ベル:無礼にも?
フレディ:…とても無礼にも断ったオファーを、受けさせてください。

(ふたりでスタジオに入る)

フレディ:『The Hour』だって?こんなの絶対ヒットしないね。

ヘクター:やあ、ミスター・ライオン。
フレディ:どうも、ミスター・マデン。
ヘクター:きみと仕事をするのを楽しみにしてるよ。
フレディ:じゃあ、少なくともぼくたちふたりのうちひとりは楽しみにしてるってことだね。

フレディ:(グラスを受けとって)ありがとう。
ベル:(グラスを受けとって)ありがとう。
ベル:さて。…わがチームにようこそ、同志よ。

ダグラス:手助けが必要なんだ。ちょっと見てみて、なにができるかやってみてくれないか?
リックス:心配いらないわ、それなら…。

フレディ:クラランス。その…。
クラランス:ああ、言わなくていい。新たな日だ、新たな状態からやり直せばいいのだよ。

ヘクター:きみはいつも周囲を見ているな。
フレディ:まあね。じゃないと、壁やらドアやらにぶつかったりするからね。
ヘクター:ああ、きみはウィットに富んでいると彼女が言っていたが、そのとおりだな。
フレディ:彼女を笑わせるのは簡単なことだから。
ヘクター:ふむ。じゃあ、きみのことを教えてくれないか、ミスター・ライオン。
フレディ:……断る。…アイザック!

フレディ:アイザック!煙草。ぼくが渡したあの煙草…!
…ビンゴだ。

ベル:私があの花が好きだってなんでわかったの?
ヘクター:うつくしい女性はみんな蘭が好きだからさ。
ベル:本当にみんなその科白に引っかかるわけ?
ヘクター:そんなにひどいかな?
ベル:ええ、かなりね。

マーニー:ダーリン!そこにいたのね。
ベル:ああ、引っかかった女性がいたわ。…彼女はあなたの…?
ヘクター:妻だ。
ベル:そうでしょうとも。そしてあれはあなたの…?
ヘクター:義理の父だ。…彼とダグラスは長年の友人なんだ。
ベル:…なるほど。てっきり、あなたはそのハンサムな顔のおかげで
採用されたんだと思っていたわ。

マーニー:あなた、今日はいっそうハンサムね!
ウォレス(義理の父):やあ、未来のスターの顔だな。おめでとう、ヘクター。
ヘクター:ありがとう、ウォレス。

ダグラス:紳士淑女のみなさん、ちょっとよろしいですかな?
われわれは、真にエキサイティングなものになるであろう旅に乗り出そうとしている。
新たな時代の幕開けだ。『The Hour』のスタートだ。

全員:『The Hour』に。

(フレディ、ルースがいるホテルを訪れる)

フレディ:ルース?ルーシー、ぼくだよ。…ここにいるのか?

フレディ:ルース!ルーシー!

フレディ:ルーシー!ルーシー!!

ジョージ:もしもし?
電話の声:ミスター・ライオンをクビにしたかね?
ジョージ:ええ。もう彼について、私は関係ありませんよ。

電話の女性:こんばんは、フロントです。
フレディ:はい、ええと…警察。警察に電話してもらえますか?
電話の女性:何号室でしょうか?
フレディ:214号室です。
電話の女性:少々お待ちください。

(以下、1.02に続く)

*注1:以前SISがあった住所の郵便番号から、SISは隠語でBox 850と呼ばれていました。
*注2:神は細部に宿る、の変化形。ですが、たぶんこの時代にはなかった言いまわしじゃないかと思います。

*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*

以上です〜。
もうしょっぱなからフレディのドアップ☆で始まるうえに、全編わりと出ずっぱりに近い感じなので画面から目が離せないのですが。個人的には、最後のほうで煙草の紙を舐めて剥がすフレディっていうかウィショくんにあれこれ持ってかれました……!!エロくて可愛くて大変です!煙草を持っている指先もアップになるので、そのほっそりと優美な指&まるく切りそろえられた爪&まあるい指先、のトリプルコンボでまたもや大変なことになるというね!!ふおおおおおおおお。

それにしても、フレディくん。なかなかイイ性格をしてらっさいますよね〜w 本来的にはヘクターを恋のライバル視しているからこその態度なんでしょうけれども、どっちかっていうと大好きなお姉さんを彼氏に取られてしまいそうで不安な弟、という感じがしますw 意地っ張りで頑固で頑張り屋で、頭がよく口もよくまわり、権力が嫌いな硬派なのに妙に純朴な乙女、そんなフレディくんが可愛くて胸きゅんです♡

もしなにか翻訳や解釈に間違いなどがありましたら、お手数ですがご指摘いただければ幸いです。どうぞよろしくお願い致します!(ぺこり)

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