『The Drop』や『Peaky Blinders』などの新作でもその素晴らしい演技力や存在感が大評判のトムハですが、今日はそんなトムハさんの過去インタビューを訳してみました〜。2009年と5年前のものなので、トムハさん31歳〜32際当時のものですな。

The Guardian, 23 June 2009: 「おれはちやほやされたいんだ」
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2002年、トム・ハーディは『Star Trek: Nemesis』への出演で「次の大スター」と目されたが、そう上手くはいかず、彼は酒浸りの日々を送ることとなった。だが、ハーディはいま、甦ろうとしている。

自身で認めているように、トム・ハーディが一番好きな議題は自分についてだ。
「正直に認めるよ」と、彼はそのふっくらとしたくちびるをにんまりとした笑みの形にして言う。「ほかのアーティストと同様に、役者は自己本位なんだ。でも、同時におれは自分がどれだけ取るに足りない存在なのかもわかっている。大多数の役者の心のうちでは、巨大なエゴと低い自尊心との攻防が繰り広げられているんだ。おれを見てくれ! いや、見ないでくれ。おれを愛してくれ、だが触れないでくれ!」

ハーディは、大仰さとまれに見る率直さを併せもった男だ。自分をありのままに受け入れて満足できたことはなく、そのルックスの良さも美点というより邪魔だとしか思えなかったという(ああ、気の毒な話だよな)。

「それどころか、男の子できれいだなんて障害でしかなかった。こどものころ、みんなおれのことを女の子だと思ったが、おれは強くなりたかった。男になりたかった。若いころ、おれの脆くて傷つきやすい部分はいつも曝け出されていた。ツラの皮の厚さなんて、かけらもなかった。だが、その薄かった皮膚はいま、タトゥに覆われている」

こうしたありのままの自分を受け入れることに対する違和感は、ハーディの自身を変容させる能力の高さについて説明してくれるかもしれない。BBC2で放送された、アレキサンダー・マスターズの小説が原作のドラマ『Stuart: A Life Backwards』の主人公スチュアート・ショーターを演じるにあたり、ハーディは約13キロも体重を落とし、アルコール中毒で「反社会的な、ストリートの話し上手」だったホームレスの男を、ただならない落ち着きと自信をもって演じきった。
そして最近公開された映画『Bronson』で、イギリスでもっとも悪名高い囚人のひとりであるチャールズ・ブロンソンを演じた際には、筋肉をつけるために毎日2,500回もの腕立て伏せを五週間続け、約19キロも増量して挑んだ。

Sky1で放送される最新の出演作『The Take』で、ハーディは刑務所を出所してきた、魅惑的だがモンスターのような男、フレディ・ジャクソンを演じる。彼は従兄弟とともに犯罪帝国を築きあげようともくろみ、80年代ロンドンのあまり治安のよろしくない地域を舞台に躯を使ってのしあがっていく。マルティナ・コールのスリラー小説『The Take』が原作のこのドラマは、意図的に繊細さを避け、セックスとバイオレンスを骨太な筆致でべったりと描いており、あのダサかったエアロビクスについても歴史的に正しい正確さをもって言及している。

ストリートをわが物顔で闊歩する男たちのように、自信たっぷりで世慣れた雰囲気を漂わせているハーディは、低所得者層出身であるかのように見える。だが、実際にはロンドン郊外の閑静な住宅街であるイースト・シーンで生まれ育ち、私立の寄宿学校に行くような中産階級の出身だ。「恵まれた育ちだということが、いつもどこか恥ずかしかったんだ」と彼はいう。「シーン出身でもいいんだ、パブリック・スクール(私立学校)出身でもいいんだ、と思えるようになるまでずいぶん長いことかかったよ。どこ出身かじゃなく、どういう人間になるかが重要なんだ、とね」

こうして、より自分を受け入れられるようになった理由のひとつは、彼が父親になったことだろう。
BBC1で放送された『The Virgin Queen』の現場で出会ったアシスタント・ディレクター、ガールフレンドのレイチェル・スピードとの間に一歳になる息子のルイスがいる。「もう自分のことばかりじゃなくなるし、なんとかやっていくしかなくなるんだ。確かにおれは仕事のために離れていることが多いかもしれないが、息子が必要とするすべてのものを与えてやれるように懸命に働いているよ」。

そして理由のもうひとつとして、まだ31歳の人間にしては、彼がかなりの人生経験を積んでいることもあるだろう。
スティーブン・スピルバーグがプロデュースしたミニシリーズ『Band of Brothers』や、リドリー・スコットの映画『Black Hawk Down』で脇役を演じた後、ハーディは『Star Trek: Nemesis』で悪役を演じ、大きな注目を集める。しかし残念なことに、映画はまったくヒットしなかった。次の大スターだともてはやされた直後にそうした称賛のラベルを剥ぎとられ、彼はアルコール中毒、そしてドラッグ中毒になってしまう。その代償として、彼は結婚生活を失った。

「おれは完全に道を踏み外していたから、ひどい事故に遭ったり、刑務所送りになっていたり、死んだりしてないのは運が良かった。その方向に向かっていたからな。いまはもう、自分のなかにいる獣についてわかっているし、どうやってそいつを管理するべきかもわかっている。おれを殺したがっている200キロのオランウータンと暮らしているようなもんだよ。おれよりずっとパワフルで、違う言葉をしゃべり、おれの魂の暗闇のなかを駆けまわっている。そいつが目を覚ますと、ドラッグの欠片のために実の母親でも売り飛ばすようなやつになってしまうんだ」

ハーディは、自分のダメージについて率直に話し(「飲酒は問題がある結果として起きる症状だよ。人生をありのままに受け入れられない、っていう問題がさ」)エンターテイメント業界のパラドックスだと思われることについてもまた、率直に語る。つまり、拒絶されたり採用されなかったりといったことばかりの業界なのに、精神的に不安定な人間を山ほど惹きつけてしまうというのだ。「残酷な商売だが、だからこそマゾヒズムにぴったりなんだろうな。ダメージを受け入れられる素養があって、受けたダメージとともに生きているような人間は、ダメージを求めるから」

ダメージを上手く探り当てられるハーディの才能は、俳優としてとても役に立っている。BBC1で2007年に放送された『Oliver Twist』のビル・サイクス役でも、チャンネル4で放送されたサイコ・スリラー『Cape Wrath』のジャック・ドネリー役でも、ハーディは危険な魅力にあふれている。
また、年内には『Occupation』の脚本家、ピーター・バウカーが『嵐が丘』を新たに翻案したドラマでヒースクリフを演じる。「トムは、こいつは誰かをたたきのめすことができる、と初めて本気で感じられたヒースクリフです」とバウカーは言う。「この役に深い痛みのようなものをもたらしてくれました。ヒースクリフは、権力をもった人間に痛めつけられてきたからこそ権力がどういうものか知っているのだ、ということをトムは直感的に理解したんです。だから、もっとも残酷なことをしているときでさえ、なにがヒースクリフを突き動かしているのかが伝わってきます」

では、トム・ハーディを突き動かすものはなんだろうか? 「おれは、みんなに愛されたいんだ」
それを手に入れることはできたのだろうか? 「全員を満足させることはできない、っていう境地にやがてたどりつく。建設的な批判なんかいらない、おれは称賛されてちやほやされたいね」。輝くような笑顔で、彼はいう。「こどもじみた話だが、実際そう思ってるしな。キングベイビー症候群だよ」

* キングベイビー症候群(King Baby):アルコール中毒者更生会によるコンセプトで、欲しいものはいますぐ欲しくて我慢できない、大人になれない大人のこと。

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以上です〜。
トーク番組などを見ていても、驚くほど率直に過去の過ちについて話してくれるトムハですが(もちろんいまは更正していて、ずっとクリーンな状態を保っています)それは悩み苦しんだ末にいまのおれがいる、と考えているからなのかなと思いましたです。ふつうはプラスでしかない育ちのよさや外見のよさが彼にとっては重荷だった、というのもまた興味深いです。
男くさく暴力的な面もある役柄が多いのとは裏腹に、いつもどこか脆く傷つきやすい、繊細な印象を与えるのがおもしろい俳優さんだなと思うのですが、そうした複雑さこそがトムハの魅力ですよね! そしてまだ見れてないんですが、文中にもあるトムハ主演の『The Take』がものすごく見たくなりました♡

Nemesis Premiere

『Star Trek: Nemesis』のプレミアにて。若くて可愛いトムハさん♡ これで共演したサー・パトリック・スチュワートが、自伝映画を撮るとしたら誰に自分を演じて欲しいですか? と最近聞かれ、確かトム・ハーディと答えていた気がします♡ (あとで確認しておきます!)

追記:ありました! このツイートですね♡ でも自伝映画ではなく「(スタートレックの)リブートであなたの役を演じるとしたら誰がいいですか?」という質問でしたん。
150111-0001

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